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14 novembre 240万人のアルビストーリー 13風の強い日だった。
スタンドから臨む新潟市のビル群のシルエットさえかすんでいた。
それでも、ここ公園内にはビッグスワンの開場を待ちきれないサポーターたちが情熱の「オレンジ」を纏って集い、
スタジアム周辺をまきこんだ「決戦」モードを盛り上げていた。
スタンドのなかではキックオフ4時間ほど前から準備は最終段階にはいる。
チアリーダーズの最終リハ、客席のチェック、案内サインの張り出し、そしてグラウンドの最終整備。
そして、社員やボランティア、警備員、警官、物販会社などの人員が最終配置に就くそんななかで、
スタジアムではほかにも重要な作業を担うスタッフがいる。
岩田加奈子は警備会社の社員からあたえられた蛍光色ジャンパーに袖を通し、
スタンド下の集合場所で作業の細かな説明、注意を与えられ
バックスタンド1層目の2次ゲートでのチケットチェックの仕事を与えられた。
ここでは観客のチケットの券種を確認し、他のスタンドの観客が間違えて入場することを防ぐ。
ビッグスワンのバックスタンドは毎試合必ず満席になるため客席での混乱を避けるためには
なくてはならないポジションだ。
試合終了後の清掃の作業も担う為、長時間の立ち仕事となり、休憩、交代をいれても結構ハードな内容となる。
その上、非常に数多くの人と接することとなりストレスも大きい。
しかし、加奈子はそんなハードタスクを前にしても、ひときわ柔らかい物腰と笑顔で観客と接していた。
彼女は結婚3年目。
結婚まえには旅行会社で添乗員、いわゆるツアコンをやっていた。
「スゴク楽しかった。」
と、遠く当時を振り返るとき、柔らかな笑顔を浮かべ、彼女の「接客」という仕事に対する心からの愛情が感じられた。
そんな彼女にはちいさな悩みがある。
夫が馬鹿が冠するほどの巨人ファン。
対する加奈子はサッカーファン。
二人の間には幼稚園に通う男の子がいる。
当然その子は「スポーツ」を選択しなければならない場面で、夫婦間で板ばさみにあうこととなる。
他人からみれば「幸せすぎる」悩みだろうが、少ない確立ながら、その子供の将来にも関わる可能性もある。
親なら悩んで当然か。
試合はいよいよ終盤にさしかかる。
スタンドからの歓声、悲鳴がスタンドへ通じる狭い階段通路上で絶えず交錯する。
その「音」が一瞬止み、次の瞬間爆発したような歓声がスタンドで沸きあがり、
その音はまるで突風のようになって加奈子の背中を押した。
アルビレックス新潟のだれかのゴールが決まった瞬間だった。
そのすさまじい「風」は永遠に続くかとも思われた。
加奈子はその歓喜の音に身をゆだねながら思った。
「うちの子にはやはりサッカーをやらせよう」
スタンドの歓声が、今また加奈子の背を強く押した。
byシュガーレス・ライフ
登場人物は仮名です。加奈子さんありがとう。息子さんの活躍を期待しています
16 ottobre 240万人のアルビストーリー 12 from名古屋夏ばてに秋の猛暑の追い討ちをくらい、錯乱しかけるわたしのフィジカルをどうにかなだめつつ、
あれほど待ち焦がれていたはずの秋の涼風にいざ吹かれてみれば、ふと寂しさをおぼえる今日この頃。
Jリーグが佳境にはいるこの時期に、都会のデパートではお歳暮商戦がはやくもスタート。
TVで冬タイヤのCFがはじまれば、J各クラブでは来季の構想がサッカーNEWSの裏側に見え隠れしてきます。
そして、「あの」チームの伝説の「あの」人がいよいよ帰って来るとか……。
台風が列島に接近していた9月某日、新潟でも生ぬるい風とゲリラ的に降る雨のなか名古屋から雑誌記者が取材にたちよりました。
約1時間の撮影と雑談のあと、駅へと送る車からビッグスワンの勇壮、かつ麗美な姿が見えてきました。
当然車内ではサッカー談議へとなだれこみます。
「海本は今新潟にいるのですか…驚きです」
記者さんは、どうやら「クレイジー」というほどのサッカーファンではないことが会話の冒頭から露見しました。
「新潟の観客動員はおどろくばかりですね。私もピクシーが居たころはスタジアムに足を運びましたけど…」
そう、そのピクシーこと、ドラガン・ストイコビッチがいよいよ自身も愛着のある名古屋の監督へと熱望されているようす、
名古屋サポーターに限らず、サッカーファンならだれでも、いやサッカーファン以外の人でも広く知られた「伝説」のスターです。
雨でぬかるんだピッチの上をリフティングでボールを相手ゴール前まで運んだプレーは何度もTVでみせられました。
「彼が引退してからはスタジアムが遠くなりました。そこへいくと、新潟はすごいなぁと、いつも思います」
駅が近づいたあたりで記者さんが、ふと、つぶやきました。
新潟がこれといったスターもいないのに関わらず上位にいるのが凄いのか、観客動員が浦和についで2位なのがすごいのか、
意味はわかりませんでしたが、新潟がいろいろな角度や視点から間違いなく注目され続けているのは確かなようです。
さて、それと注目の名古屋の来季の指導体制はどうなるのか、目が放せません。
記者さんが車から降りる直前、最後に一言。
「名古屋はどうゆうわけか新潟に相性が悪いですよね。くやしいながら。」
わたしは、当然それが逆にうれしい。
きっと彼との別れ際の私の表情は満面の笑顔になっていた、に違いない。
BY シュガーレス・ライフ 12 settembre 240万人のアルビストーリー 11 「240万人」とはもちろん、現在の新潟県全体のおおよその人口です。
県民のすべてが「アルビレックス新潟」をインスパイアする、されるの間柄であることうを意味させました。
本日、朝のスポーツニュースはわれらが矢野貴章が、まさにわれら新潟県民のみならず、日本全体をインスパイアしました。
今後のさらに大きな国際大会へと期待はふくらむ一方です。
私たちスタッフはいままでスタジアムに入場する際にはメインエントランスからはいることが通常でしたが
最近はEスタンドのチケットブース脇から入り、集合場所へとむかいます。
すると、いつもとは違うスタジアムの風景が目にはいるようになりました。
カナ-ル脇が早朝からあそこまでにぎやかであるとは知りませんでした。あらたな発見です。
前節、集合場所へと急ぐ私の背後から「おはようございます」と声をかけ、やわらかな物腰で近づく「ある男性」がいました。
ボランティアをはじめてから知り合いと呼べる人間が爆発的に増え、あちこちから声をかけていただくことも珍しくない毎日ですが、
残念ながら、この「ある男性」の名前がどうしても出てきません。
渋いカラーのTシャツ、スマートな体型によく似合ったジーンズ、スニーカー、さりげなく個性をアピールしているダメージのキャップ、
それに、なによりその端正なつくりの「お顔」、いまはやりの「イケメン」と呼ぶに相応しいいでたちでした。
さらに、私に対するイヤミの無い低い姿勢と笑顔、しかし、どーーーーしても「名前」が浮かびません。
そんな私の怪訝な表情を察してか、「男性」はその頭に深めにかぶっていたダメージキャップを、申し訳ないことに、
気を使って、私に自身の顔がよく見えるように少し持ち上げてくれました。
しかしそれでも、彼が間違いなく「イケメン」であることの証明ができただけで、相変わらず「名前」はどこかへ行ったまま。
「どうも、お世話になってます。今日はスタンドでお仕事ですか?」
「え?ええ、まあ…お、おたくは?」
と、このような相手に対して申し訳ないような会話しかできず、せっかくお声かけしていただいた相手に対し、失礼の極みでした。
なんとか会釈だけはかわし、後ろ髪を引かれつつ、私は集合場所へ急ぎました。
「彼の名前」がようやく判明したのはスタッフミーティングを終えてから。
市内某ホテルの営業マンで、その昔野球をしていたスポーツマン。女性をポッとさせるほどの「イケメン」ながら残念ながら「既婚」。
こどもは3人。しかも、その彼の奥さんは私が仕事でちょくちょくお会いする方でした。
お恥ずかしい限りです。
これは私個人の「老化」に起因する記憶障害なのか、多忙によるストレスなのか、
それとも、彼の特有の色気が私を毒したのか (注:私はノーマルな男です) はわかりませんが…。
しかし、こんな私ですが、どうか見捨てないでお声かけください。
皆さんのお役にたてるように、またスタジアムへ向かいます。
byシュガーレス・ライフ
17 agosto 酷暑とも戦う!!8.15名古屋戦 名古屋戦で排出されたスタンドゴミの半数はペットボトルであったろう。
ゴミ袋前で分別を呼びかけている最中にもボトル専用の袋がみるみるうち溢れていった。
42000サポーターの熱気とチームの奮闘は飲料の消費をグンとひきあげたようだ。
さて、きびしい夏の新潟、日本を離れて戦うアルビ戦士もいる。
アルビレックス新潟レディースからU-19女子日本代表に選ばれた川村優理と輿山このみだ。
彼女たちはいま北欧スウェーデンにいる。
首都はストックホルム。今頃の気候としては最高気温25度、最低気温は10度前後とうらやましい。
グスタフ国王のもと先進の福祉国家として有名で、受賞式が行われるノーベル賞については説明はいらないだろう。
日本の1.2倍の国土に人口わずか900万人。(新潟県のやく4倍弱)
風土は厳しく、農業より酪農が盛ん。工業製品では車のボルボやサーブがなんといっても有名。
また、意外なことに日本のお隣韓国同様、徴兵制で軍事を支えている。
日本との関係は極めて良好。
個人的にも、いつかは行って見たい国のひとつだ。
事サッカーに関して言えば、女子のW杯では毎回優勝候補に挙げられる超強豪国。
政治同様に男子を凌ぐ活躍ぶりだ。
北欧人独特のめぐまれた体格で世界の女子サッカーを強烈に牽引する。
さて、アルビレックス新潟レディースは今年からなでしこ1部に参戦した新興勢力。
新潟から参加する彼女たちにとって年代別代表という一生一度のチャンスを是非いかして、
是非これからの新潟サッカーの発展に寄与してもらいたい。
U-19女子日本代表は22日に帰国する。
by シュガーレス・ライフ
08 agosto 240万人のアルビストーリー 10井沢 エリは反町監督以降のアルビファン。
いわゆる新潟の反町チルドレンの一人である。
それまでもJ2時代は市陸での試合は近くの歩道橋から地元チームの活躍を眺めることもあった 。
エリは新潟市内の某英会話教室に勤める。
アルビレックス新潟の活躍や情報は自分の生徒たちからも多くもたらされた。
それと同時に、どうしても実際に肌で、熱狂するビッグスワンで「感動を直接味わってみたい」という欲求が湧いてきた。
試合の多くを南スタンドかバックスタンド自由席で観戦する。
仕事である「授業時間」とのかねあいで、不規則な勤務もあり、あらかじめチケットを確保しておくリスクを避けるためでもある。
そこでは、しかしながら普段の仕事のストレスから開放されるような興奮とともに「愉快なシーン」にも出会えるのだ。
南スタンドである試合の観戦中ある熟年カップルの会話が耳にはいった。
そのカップルは北スタンドで歌われ続ける、あるサポーターソングの歌詞がどうしても聞き取れないでいたのだ。
「♯♪♪♪♪♪~♪♪♪♪ ニョ~ ♪♪♪♪~♪♪♪♪♪ニョ~♯」
「あの歌の△£%#☆~ ニョ って何かねぇ?」
「ばっからねぇ!応援歌だから誰か選手の、ほらブラジル人の、えっと~……誰かの歌に決まってるねっけ!!」
「へぇ!? ♪♪♪♪♪~ニョだから…誰?」
「わかった!!あの有名なロナウジーニョらわ!きっと!」
「あっそうらか!なるほどねぇ」
エリはカップルの隣で笑いを堪えるのに四苦八苦した。
確かにロナウジーニョは今、日本に来ているが新潟の選手ではない。
彼の現在給料ならアルビのチームごといくつも買えるということをカップルは当然知らないだろう。
たしかに南スタンドからはサポーターソングの歌詞まで正確に聞き取れない。
矢野ソングの歌詞も分かったのも最近だ。
ともかく、シルビーニョに失礼だ。
その「シルビーニョ」も復帰が近いようです。リーグの再開を皆さんで楽しみましょう。 エリさん仮名)ありがとうございます。また私をみかけたら是非声をおかけください。 By シュガーレス・ライフ
、 07 luglio 240万人のアルビストーリー 9~インターナショナル~ボランティアにとって過酷な3連戦(広島、レディース、サテライト)が終わり、われわれも活動は中断です。
スタッフ不足という壁にぶつかりながらも、J1が3位という事もあって、後半戦にむけて意気は高いです。
広島戦には、私の個人的友人であるアメリカ人が、その友人をともなって観戦いたしました。
スタンドで外国人をみかけることは珍しくなくなりましたがその「友人たち」は特別でした。
というのも、彼らは先日結婚式を挙げ、10日間の新婚旅行の途中で、ここ新潟に立ち寄ってくれたカップルなのでした。
友人の 「新潟 = アルビレックス新潟」 というすすめで、
大きな期待とともにスタジアムに2人は乗り込んでまいりました。
ミシガン州デトロイトが彼らのホームタウン。
人口約100万人の、アメリカとしては中規模都市。
五大湖のひとつ、エリー湖のほとりでアメリカ屈指の自動車工業都市として栄えました。
西隣のミシガン湖にはアメリカ3位の都市シカゴ、
東のオンタリオ湖にはカナダ最大都市トロント、首都オタワがあるものの、
日本人にとって「デトロイト」はなじみがあまりないかも知れませんが、あのGMの本社があり、豊田市と姉妹都市です。
メジャーリーグで昨年ワールドシリーズまでのぼりつめた「タイガース」、NBAで作季ディビジョン制覇した「ピストンズ」のほかに、
NFLとNHLの「ライオンズ」がここデトロイトをホームにしています。
残念ながらサッカーはないとのこと、ここはひとつアルビレックス新潟の快進撃を、是非とも目に焼き付けて帰ってもらいたいところです。
試合は見事3位を決定付ける快勝 !!!
アメリカ人カップルもかなりお気に召していたようです。
というのも、「スタジアムが綺麗ですばらしい。」というわれわれボランティアにとってなにものにも代えがたいお褒めの言葉をいただきました。
ここはいつもクリーンサポーターとして協力してくださる皆さんにも感謝をお伝えしたいところです。
世界一のスポーツ大国からのお客様を満足させてくれた選手にも、この際は感謝です。
なにしろ、時として、スコアが「0-0」ということもありえるサッカーは、
NBAやNFLのような「大量得点が大好きなアメリカ人」にとっては正直苦痛なほど退屈らしく、
その意味でこの日の試合は大変良かったと思います。
ただ、スタンドの中で売られているホットドッグがあまりにも味に違和感がある、とのこと。
「今度アメリカに来た時は絶対『アメリカのホットドッグ』を食べてくれ!ここのは違う!!!」と力説していました。
お世辞ばかりでなく、アメリカ人らしい率直な意見を聞けたのもありがたかったです。
できればお近くのサポーターさんたちに協力してもらって「Conguratulations!]という、
サプライズなお祝いを個人的に考えていたのですが、
残念ながら時間がありませんでした。
2人はそのあと某有名ホテルの和食ディナーに臨みました。
その料理の味はともかく、「料金」を除いては、すっかり「新潟」の夜を満喫して帰っていったとのことです。
唯一残念なのは、この日の観客が4万人を超えたため彼らに満足な案内をしてやれなかったことです。
リユースカップのことなど、日本語が分からないと不便なことがスタジアムの中でいくつか存在しています。
今後ますます外国人が多く訪れることになるでしょう。
そんな人たちにも優しいスタジアムを目指したいものです。
By シュガーレス・ライフ
16 giugno 240万人のアルビストーリー 8今日、わが愛すべきチームは上位定着をかけて大宮と戦う。
他のチームの状況も当然気になる毎日だが、驚くべきニュースが舞い込んだ。
かつてのアルビ戦士の逮捕である。
まだ刑罰が確定せず、本人からの世間を納得させる説明があったわけでもない。
しかし、サッカーファンはもとより、大多数のアルビサポーターをがっかりさせたのは間違いないところだ。
我々ボランティアスタッフは選手らとの直接の接触がかなり制限されている。
したがって、このたび逮捕された選手のプライベートに関しては、当然ながら、まったく知る由もない。
しかし、スタジアムに来て下さるサポーターの中には、シャツに多くの選手のサインをもらっている人も多くおられる。
そんな「サイン群」のなかに混じって、かつての「彼」のサインも、当然、描かれてあるのだ。
そんなサポーターの皆さんに対し、彼は今、どういう感情を持っているのだろうか?
そして、いままでどおり、試合の度に、そのサインの書かれたシャツを着てスタジアムに行ってもらえると思っているのだろうか?
事実は彼自身の口から明らかにされねばならず、事と次第によっては刑事罰が下され、選手生命も失いかねないであろう。
夢を与える立場の人間が犯したミスとしては、本件は最低最悪の事例である。
まだ若いながら数々の栄光を知り、将来性豊かだった「彼」が、手錠を架され、頭をかくしうなだれて歩く姿の写真を見せられたアルビサポーターのショックは、小さくないであろう。 02 giugno 240万人のアルビストーリー 7悪夢のようなナビスコ杯敗退でしたが直後の磐田戦快勝という朗報がもたらされました。
つくづく、アルビサポーターは辞められないと感じる今日です。
先日、オランダ人に「君たち新潟人は、なんて幸せなサッカーファンなんだ」と言わせるほど我々は素敵なのだ、と書きました。
さて、そこで思い出したエピソードを。
松田ハナは毎朝4時に目を覚ます。
夜型人間の若者からは 「そんな、まるで夜のような『朝』に何することがあるの?」 と言われるだろう。
しかし、人にはそれぞれ固有のライフパターンというものがある。
ハナは年金生活者。そんな彼女の唯一で最大のイベントがアルビレックス新潟の試合を観戦することだ。
ホーム試合は欠かさず、夫をはじめ家族とともにスタジアムに足を運ぶ。
ハナにシーズンパスを買ってくれた兄は医師のため仕事上、毎試合は来られない。
その兄が足、ヒザ痛で悩むハナに、なぜかアルビ観戦を強く勧めたのだという。
子供たちは北スタンドの1層で観戦。しかし、ハナが陣取る席は2層目の電光掲示板の下だ。
足腰の弱い年配者がなぜ階段を余計に歩くことになる2層目へなるのか?
答えは簡単、「1層目で観戦してると試合中、前の人のおしりしか見えない」 からだ。
ハナは毎週2回のリハビリで新潟市内の整形外科に通う。
その生活がすでに3年続いている。
たとえ朝はゆっくり寝ていたくても、足やヒザの痛みで自然と目が覚めてしまうのだ。
それでも彼女は夫とともにスタンドへ通う。
「『ビッグスワンの階段の上り下りは良いリハビリをかねている。』 と、医師である兄が勧めるから」とハナは笑う。
しかし、その 『スタンド通い』 はほんとうに単なる健康維持のためだけだろうか?
彼女が、いかに苦労をしてビッグスワンへやって来るのかを聞けば、『スタンド通い』の本当の理由が見えてくる。
毎試合、足腰弱い彼女が15分かけて自転車でスタジアムへ来て、キックオフの5時間も前に北スタンドの整理列に並び、
足腰の痛みに耐え階段を余計にのぼる2層目に座り、春先の寒風に耐えながらキックオフをただじっと待つ、などということが、
「健康のため」 という彼女の控えめな言葉だけでは、説明がつかない。
それは、彼女が間違いなく熱狂的新潟サポーターのひとりなのだということを意味している。
このような素敵なサポーターたちのおかげで私たちもがんばっていこう、と思える。
Mさんありがとうございました。くれぐれも健康にお気をつけください。
素敵な御家族のお話、楽しかったです。
登場人物は仮名です。
by シュガーレス・ライフ 23 maggio 鹿島も、名古屋も乗り越えられず。どうしても欲しい物が目の前にあるという、興奮。
しかし、どうしても手に入れられないという、心の苦痛。
だれかに分かって欲しい、この心のもどかしさ、苛立ち。
わかります。わかります。サポーターさんたちの声にならない叫び、痛いほどわかります。
スタジアムをあとにする時にはみなさんが気持ちよくあってほしい。これはわれわれボランティアの願いです。
新潟サポーターはとても幸せな空間を毎試合共有しています。
先日、新潟と同じ色のユニフォームの代表をもつ「オランダ」からのお客さんが我が家に参りました。
その人曰く、「もしオランダで、車に自分たちのチームのステッカーやミニフラッグをかかげてよその都市に行くなら、その車では無事に帰ってこれないだろう。試合観戦いくにも、喧嘩がおきることは覚悟しなければならず、当然ながら、年配者や子供がスタジアムには近づけない。」
とのことでした。
フーリガン対策で、観戦チケットには購入者の名前が明記され、スタジアム入場の際には身分を証明するものが必要とのことです。
試合当日は市内での酒類の販売も規制されるということも珍しくなく、
ヨーロッパではサッカー観戦は娯楽とはいえないしろものになりつつあります。
少なくとも日本人から見れば。
その幸せな新潟においてのお話に戻りましょう。
皆さんが帰り際に捨てて行かれるゴミの回収に我々は四苦八苦しております。
ここのとこの勝てない試合のときには幾分ゴミも多くなるような気もします。
キチンと分別するにはあまりにも大量。
そして試合終了後の短時間に集中してすてられて行く為に回収も間に合いません。
これは何年やってきても解消されない難題であり、
スタンド清掃は我々ボランティアスタッフのハードタスクとなっております。
先日の鹿島戦後に私が相変わらず溢れかえったゴミと苦闘していると、
通りかかった親子と思われるお母さんと保育園児くらいの男の子がゴミの分別を手伝ってくれました。
これは非常にありがたかったです。
帰り際には私から丁重にお礼を述べ…それしかできないのが残念ですが、
とにかく嬉しかったです。ありがとうございました。
クリーンサポーターは定着してスタンドの中は毎試合、非常に綺麗になっていて、
毎試合満杯になるスタジアムにおいてこれは奇跡的です。
そんななかで、できればゴミ分別をやってくれるお手伝いも募集したいところです。
試合終了後5分、いや3分でもいい。
僅かな時間の協力で大量に排出されるゴミの分別がスムーズにいきます。
どうかゴミ袋前での「3分間クリーンサポーター」にもご協力を、お願いします。
21 aprile 240万人のアルビストーリー 6筆者は方向音痴である。
どれほどであるかというと、出張でビジネスホテルに入り、外出しようとするとエレベーターの位置が分からない。
また外出から帰っても今度は部屋の位置がわからない。
外国人に自分のパーソナリティーを教えるために[No-Sence of Direction]という英訳まで知っている、というほどである。
はじめてボランティアにビッグスワンに来たときも同様だった。
意外と広いスタンド下通路を歩いて移動していたら、自分のスタジアム内での位置関係を完全にロストしてしまった。
のみならず、家族で試合観戦に訪れたときでさえトイレから帰ったら自分の確保した席さえわからなくなった。
あのとき携帯電話を持っててほんとうに良かった。
人間ドックでは視力、聴力、心電図、体重、血糖値など、事細かに調べてもらえるのに「方向感覚」は調べてもらえない。
しかし、これは大問題だ。是非改善してもらいたい。
なぜなら、これがないと日常生活に著しい支障があるからだ。
まず①車で移動する時、人より多くの時間を要する (カーナビがあってもあまり変わらない)
②歩いての移動でも、人より多く歩くことになる。 (靴がはやく傷む)
③道端できょろきょろして不審者にまちがわれかねない。 (早足で移動するため疲れる)
④知らない土地では地図が必要となり出張の際、荷物が増える。 (肩が凝る)
⑤必然的にストレスがたまり、やけ食いをしてしまい健康に良くない。 (血糖値があがる)
⑤そのような話を家庭に帰ってからすると、家族にばかにされ、ストレスがたまる。 (家庭内不和)
⑥筆者はアルコールも音痴なため、またやけ食いしてしまう。 (医者に叱られる)
などなど、不都合である理由を挙げたらきりがない。
方向音痴は、したがって病気と呼んで差し支えがないのだ。
今後は、是非健康診断では、方向音痴度を数値化してもらうように願う。 (できれば治療薬も開発してもらいたい)
病気といえば、私は他にも、平日の試合には仕事をほったらかしてもボランティアのためスタジアムに向かう、ということがある。
平日は人手が足りず、その忙しさは、満員となる週末の試合と同様のものがあるからだ。
なんとかアルビレックス新潟のお役にたちたい、との想いから大事な自身の仕事がおろそかになるのである。
これも、もはや人に言わせればれっきとした「病気」である。
しかし、この病気は、いまのところ治すつもりは、全くない。 17 aprile 240万人のアルビストーリー 5私たちボランティアは毎試合多くのサポーターさんたちと出会うわけですが、
なかには毎試合来て下さるという熱烈ファンも多くいらっしゃいます。
岡田恵子は朝から順調に家事をこなしていた。
夫を送り出し、こどもを学校へ見送り、洗濯はいつもより早めに終えた。
特別なことが起きない限り、夕方から彼女の人生最大の楽しみである「サッカー観戦」へと向かうことができる。
弁当をかばんに詰め、実家の母親を迎えに行き、息子をいつものオレンジユニフォームに着替えさせ、準備万端整った。
途中の道路は彼女の車をスタジアムまでスムーズに運んでくれた。
試合開始まで1時間以上あり、客席も、平日という事もあってかなり空いている。
最前列より1ブロック下がったところに3人で座った。
絶好のポジションを確保できた。なにもかも順調だ。
唯一難をいえば、毎試合観戦に来ているため、スタンド売店の食べ物に飽きてしまったということだ。
「今日はカップ戦なので、試合開始までは各スタンドへ自由に移動できます。」
近くのボランティアスタッフが教えてくれた。
どおりで、スタンドコンコースの人の往来がいつもより多い感じがした。
次の試合は隣スタンドへ親子でツアーをするのもいいかな、とも思った。
世間では花見シーズン真っ盛り。
しかし、彼女にとってはビッグスワンの素晴らしいグリーンの芝生を眺めながら食べる弁当のほうがずっと楽しい。
見上げると雲ひとつ無い青空がビッグスワンの四角にきりとられたスペースに綺麗に収まっている。
なにもかも順調な日だった。
やがてピッチに憧れの選手たちが歓声に迎えられ入場してくる。
恵子はその光景のなかに自分の息子「タツヤ」が将来加わっていることを空想する。
そう、このまま順調ならタツヤはきっとこのピッチに立ってくれる。
彼女は希望溢れる未来を思い描いた。
彼女の傍らでおいしそうに弁当を食べている息子「タツヤ」は、
この春からアルビレックスサッカースクールに入校することを決めている。
先日ナビスコカップ「甲府戦」でのひとこまです。
市内のOKさんはホームゲームを毎試合観戦されているとのことでした。
ご協力ありがとうございました。
登場人物は全て仮名です。
byシュガーレス・ライフ 15 aprile 240万人のアルビストーリー 4今年度も試合日は天候に祟られます。
ひどい強風の中、それでも3万人をはるかに越えるサポーターがガンバ大阪戦に訪れました。
そんなスタジアムで素敵な女性に出会いました。
彼女は強風を避けるように北スタンドの端の壁際に佇んでいた。
まだ試合開始まで1時間近くあり、空いてる自由席に座ることもできるのに、彼女はそうしなかった。
オレンジのレプリカシャツからしなやかに伸びた腕先にある両手は、新潟の選手の健闘を祈るのか、
胸のまえで硬くにぎられ、視線はグラウンドに向けられたまま動かなかった。
肩に軽くかかる程度に伸びたまっすぐな黒髪が、風にかき消されそうな繊細なラインの憂いのある表情を
優しく包んでいる。
不用意に声をかけると彼女の姿はそのまま消え入るのではないかというかすかな不安を覚えた。
小林明日香は今年の新潟のホームゲームは毎試合観戦に訪れている。
昨年まで長岡に住んでいて、年に2~3回しかこれなかったサッカー観戦も、
今年から仕事の都合で新潟市に引越してきて皆勤賞を目指す。
「だれか好きな選手がいるのですか?」との私の問いかけには
「いえ、とくに、誰が好きというわけでは・・・ないです」
と、清涼感と明瞭さのなかに、優しさとかすかな恥じらいを含んだ声で答えてくれた。
彼女の心の中は、「新潟」の名のもとに活躍する選手、チームを応援するという、
いじらしいほど純粋な郷土愛に満ち溢れている。
憂いを含んだ彼女のサイドビューは清楚な和服姿を想像させ、
グラウンドを見つめる表情は、まるで2時間ドラマの最後で、
刑事に悲しい現実を突きつけられて耐えている主演女優の風情があった。
キックオフ。
彼女の視線はもはやグラウンドに釘づけとなった。
驚いたことに試合が進むにつれ彼女の様子はすこしづつ変化していった。
新潟のピンチになると「北野―っ!」とGKの名前を叫び、
相手のバックパスにはこぶしを前につきだし親指を下に向けるブーイングポーズをとる。
チームや選手を鼓舞する歌にも呼応し、彼女の細い体は上下に律動した。
そして、チームの勝利。
彼女のその小さなこぶしは「アルビレックスコール」のためにうち振られた。
なぜか、そのこぶしには、いつの間にか棒付きキャンディーが握られていた。
それは彼女の持ち物ではなく、彼女の背中でおんぶされ、
ぐっすり眠っていた今年2歳になる彼女の次男「エースケ」が試合開始までしっかり握っていたものであった。
試合が進むにつれ、母親の激しい動きにたまらず背中の「エースケ」は目をさました。
握っていたキャンディーは落ちそうになり、母親にもぎ取られたのだ。
彼女は選手がゴールウラスタンドへ勝利の挨拶にくるのを待たず、「それでは、失礼します」と、
わたしに丁寧に挨拶するとスタジアムを後にした。
彼女の背中にはシッカリとくくりつけられた「エースケ」が、いまやすっかり目をさまし、「なにがなにやら分からない」
という表情できょろきょろ首を動かしていた。
お母さんのはなしでは「エースケ」君はなぜかアルビの応援歌を歌えるそうですが、それは、自然の成り行きであると思います。
他でもない、「おかあさんの歌う」歌を背中越しで聞きながら「エースケ」君は育っているわけですから。
市内のA.Kさんに協力いただきました。
登場人物はすべて仮名です。
byシュガーレス・ライフ
13 aprile 240万人のアルビストーリー 3日本人の心くすぐる桜の季節真っ盛りですが、花粉症の私にはやや大変です。
この季節は出会いと別れの季節でもあります。
一貴は今日の授業を受けるかどうかを朝から悩んでいた。
それというのも、昨日のサッカーの試合の応援疲れからか体が重く、予習をしておくべき課題も終えてなかった。
それでも、今月の同じ授業を一度休んでおり、ひと月に二度休むのは気が引けた。付け焼刃ではあるが、なんとか課題を済ませ学校へ向かった。
ぎりぎりの時間に校舎に入るとロビーで久しぶりに京子に会った。顔をすこし傾け、しなやかな指をいっぱいに広げて手をふるいつものしぐさで一貴を迎えた。
彼女とは、以前まで共通の授業で週一回会う程度でしかない関係ではあったがお互い会話はよく交わした。
しかし、年度が変わり、カリキュラムの変更などあって、ここ一年全く会う機会が失われていた。
一貴は、そんなクラスメートのひとりであった彼女へ、ある特別な想いを寄せていた。 彼女のくわしい住所を知っているわけでなければ、電話番号やメールアドレスさえ訊ねたわけでもない。
したがって、もちろん、「告白する、しない」といった関係になろうという感情も無かった。ただ、彼女の、自分の意見をストレートに言える性格や、それでいて他人の意見にも耳をかたむける謙虚さ、他人を思いやる繊細なやさしさをもちあわせていることに一貴は惹かれた。
それに、なにより、会うたびに見せてくれる明るい笑顔が一貴をいつも癒してくれた。
一貴は京子に会うたびにアルビレックス新潟を応援することの楽しさや、サッカーの奥深さを熱く語ったが、彼女は一向にサッカーに興味を持ってはくれず、それでいていつも笑顔で一貴の話をただ静かに聞いていてくれた。
今日、そんな彼女に偶然会えたことで一貴の心はすこし浮き立った。今日の授業をさぼらなくて良かったと、つくづく思った。
髪がすこし伸びただけで以前とまったくかわりない京子の姿が嬉しかった。
楽しい再開は一瞬であった。
京子は今月で新潟を去る。6月には結婚式を控えていて、今日は知り合いにお別れを伝えに来たということだった。
敢えて苗字がどう変わるかは聞かない。彼女が選んだのだから相手は「いい男」に違いない。
ロビーから出て行こうとする彼女にいつもどおり手を振った。
彼女の笑顔は相変わらず素敵なままで、顔を傾けるいつものしぐさで手を振りかえしてくれた。
そんな京子と会うのはこれが最後であろう。一貴はいつもより長めに手を振り続けた。彼女も答えてくれた。
彼女の姿が消えたあとで大事なことを京子に言い忘れていたことを思い出した。
「結婚おめでとう。どうかお幸せに」
K子さんご結婚おめでとうございます。どうかサッカーチーム、とまではいかなくてもフットサルチームを作れるくらいのお子さんを産んでください。
登場人物はすべて仮名です。
by シュガーレス・ライフ
05 aprile 240万人のアルビストーリー 2昨日の深井選手のゴールを深夜のスポーツ番組からやっとのことで探り当てて歓喜していた方も多いのではと思われます。
強敵相手に追いついた「感激」より、今年のチームならもっとやれるという「期待」のほうが膨らみます。
次の試合まで間が空きますので、またエピソードをひとつ。
中沢俊夫(仮名)はアルビレックス新潟の試合結果をつたえるニュースを懐かしい思いで眺めていた。彼はアルビファンというわけで無ければサッカーファンでもない。野球派である。その彼が昨年一度だけ観戦のためにビッグスワンを訪れた。 彼の家は昨年ヨーロッパからの留学女子高生「クレア」を1年受け入れていた。中沢夫婦の子土供は男の子だけで、クレアは中沢家初の「娘」となった。当然夫婦そろって彼女を可愛がり、本当の子供同様に扱った。クレアも日本語が達者で、愛くるしい笑顔とともに性格も誠に素直で家族にこの上なく愛された。俊夫は野球以外では酒が三度の飯より好きであったが、留学生協会のほうから「留学生にお酌を絶対させてはならない」との厳しいお達しがあり、彼をすこしばかりがっかりさせた。また、しかし彼も「必死」にその約束事を守った。 ある日、クレアはアルビレックス新潟の存在を知り、「是非スタジアムに行って試合を応援したい。」と、言い出した。俊夫は彼女の為にアルビボランティアをしている友人のシーズンパスを借りるなどして彼女をビッグスワンに連れて行ってやることにした。試合当日はナイトゲーム。俊夫は学校まで彼女を出迎えスタジアムへ向かい、スタンドでは好きな酒もクレアを送る車の運転の為に必死に堪えた。 一年という時間は中沢夫婦にとって瞬く間に過ぎ去った。彼女の帰国を一週間後に控えたあたりから夫人は涙もろくなり、「クレアを養女に迎えられないかしら?」と真顔で知り合いと相談を持ちかけたりした。俊夫はいまだにサッカーには興味はなく、相変わらずの大酒飲みである。クレアが日本を離れる前に、クレアは一度だけ彼の晩酌に付き合い、やってはいけないと通達されていた「お酌」をしてあげた。俊夫はうしろめたいながら素直に受け、喜んだ。帰国の日、中沢夫婦はそろって成田空港までクレアを見送った。夫人の目はそれまで見たことがないくらい涙で赤くはれ、交わす言葉も不自然に途切れた。俊夫が別れ際に遠慮がちにクレアの肩を抱くと、クレアはきつく抱き返してきた。俊夫のシャツの上からでもクレアの目から流れる熱い涙は感じ取れた。 別れに手を振るクレアを見つめる中沢夫妻の胸には、楽しかった一年の思い出がゆっくりよみがえってくるのに対し、無遠慮なスピードでクレアを連れ去るエスカレーターが鬼のように恨めしく思えた。滑走路を背にし、空港の自動ドアを抜け、飛行機の爆音が耳に届くと、俊夫が必死に堪えていた涙は堰を切ったように流れた。いつまでも頭の中でクレアの笑顔が離れることは無く、涙も止まる事はなかった。夫人も帰途完全に沈黙し、うつむき、寂しさに耐えていた。新幹線で新潟駅に着くと、遠くにビッグスワンの明かりが輝いていた。楽しかったワンシーンが思い出され、また頬に涙が伝った。いつまでも、その涙は止まらなかった。
by シュガーレス・ライフ 秋葉区のNさんの経験に基づき構成いたしました。ご協力感謝します。 03 aprile 240万人のアルビストーリーたびたび、シュガーレス・ライフです。
スタンドでは毎試合非常に多くの人たちと接しています。そんななかで聞かせていただいたエピソードをここでひとつ。
立野克人(仮名)にとっては久しぶりのビッグスワンだった。
脱サラして家業をつぎ毎日多くのお客と接する彼にとって、友人との会話やサッカー観戦が数少ないストレス解消の手段であった。
幕下力士のような体型と顔つきに、髪は耳の上あたりから下を刈り上げ頭の上にある髪は伸ばしてナチュラルパーマがかかっている。
小太りのレゲエ歌手といえばわかりやすく、初対面の人にとってはすこし威圧感が」ある。
そんな世間離れした見てくれとは対照的に、性格はいたって温和である。
豊かな肉付きの顔に満面の笑みを浮かべながら話す彼は、全く憎めない男なのである。
「なぜファビーニョは新潟からいなくなったの?」
彼の口から突拍子もない(と思われる)質問が飛び出てきた。
彼曰く、「あれだけ貢献した選手なのだから、選手としてはダメでもコーチとか、社員とかにしてずっと長く新潟にいてもらえば良かったのでは?」
とのことだ。
彼にとってファビーニョはブラジル生まれでありながら新潟にわたり、ここ新潟で「はじめて」サッカーを学び、チームをJ1まで押し上げた伝説的ヒーローに思えるらしかった。私にとっては彼の無知は笑えない。
彼にとってファビがブラジルで幾つもの一流チームをわたり、欧州でも経験を積み、日本でも大分で活躍した、などということなどはどうでもいいことなのだ。
めったにスタジアムに来れない彼ではあっても献身的プレーのファビーニョには強烈な印象だったのだ。その点では納得がいく。
少しの立ち話のあと、おなかがはちきれんばかりのオレンジスタイルで彼はスタンドにまぎれていった。
彼の意見にはすこしばかり共感を覚える。
なぜなら、私の携帯アルビサイトのトップ画面も、まだ昨年6月の、シルビーニョと並んで写っている微笑むファビーニョのがいる。
スタンドで出会ったT.Kさんの話をモチーフにいたしました。ご協力感謝いたします。ご商売の繁栄を心よりお祈りいたします。
以上シュガーレス・ライフでした。 |
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