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日志


4月21日

240万人のアルビストーリー 6

筆者は方向音痴である。
どれほどであるかというと、出張でビジネスホテルに入り、外出しようとするとエレベーターの位置が分からない。
また外出から帰っても今度は部屋の位置がわからない。
外国人に自分のパーソナリティーを教えるために[No-Sence of Direction]という英訳まで知っている、というほどである。
 
はじめてボランティアにビッグスワンに来たときも同様だった。
意外と広いスタンド下通路を歩いて移動していたら、自分のスタジアム内での位置関係を完全にロストしてしまった。
のみならず、家族で試合観戦に訪れたときでさえトイレから帰ったら自分の確保した席さえわからなくなった。
あのとき携帯電話を持っててほんとうに良かった。
 
人間ドックでは視力、聴力、心電図、体重、血糖値など、事細かに調べてもらえるのに「方向感覚」は調べてもらえない。
しかし、これは大問題だ。是非改善してもらいたい。
なぜなら、これがないと日常生活に著しい支障があるからだ。
まず①車で移動する時、人より多くの時間を要する (カーナビがあってもあまり変わらない)
   ②歩いての移動でも、人より多く歩くことになる。 (靴がはやく傷む)   
   ③道端できょろきょろして不審者にまちがわれかねない。 (早足で移動するため疲れる)
   ④知らない土地では地図が必要となり出張の際、荷物が増える。 (肩が凝る)
   ⑤必然的にストレスがたまり、やけ食いをしてしまい健康に良くない。  (血糖値があがる)
   ⑤そのような話を家庭に帰ってからすると、家族にばかにされ、ストレスがたまる。 (家庭内不和)
   ⑥筆者はアルコールも音痴なため、またやけ食いしてしまう。  (医者に叱られる)
などなど、不都合である理由を挙げたらきりがない。
方向音痴は、したがって病気と呼んで差し支えがないのだ。
今後は、是非健康診断では、方向音痴度を数値化してもらうように願う。 (できれば治療薬も開発してもらいたい)
 
病気といえば、私は他にも、平日の試合には仕事をほったらかしてもボランティアのためスタジアムに向かう、ということがある。
平日は人手が足りず、その忙しさは、満員となる週末の試合と同様のものがあるからだ。
なんとかアルビレックス新潟のお役にたちたい、との想いから大事な自身の仕事がおろそかになるのである。
これも、もはや人に言わせればれっきとした「病気」である。
しかし、この病気は、いまのところ治すつもりは、全くない。
4月17日

240万人のアルビストーリー 5

私たちボランティアは毎試合多くのサポーターさんたちと出会うわけですが、
なかには毎試合来て下さるという熱烈ファンも多くいらっしゃいます。
 

岡田恵子は朝から順調に家事をこなしていた。
夫を送り出し、こどもを学校へ見送り、洗濯はいつもより早めに終えた。
特別なことが起きない限り、夕方から彼女の人生最大の楽しみである「サッカー観戦」へと向かうことができる。
弁当をかばんに詰め、実家の母親を迎えに行き、息子をいつものオレンジユニフォームに着替えさせ、準備万端整った。
 
途中の道路は彼女の車をスタジアムまでスムーズに運んでくれた。
試合開始まで1時間以上あり、客席も、平日という事もあってかなり空いている。
最前列より1ブロック下がったところに3人で座った。
絶好のポジションを確保できた。なにもかも順調だ。
唯一難をいえば、毎試合観戦に来ているため、スタンド売店の食べ物に飽きてしまったということだ。
「今日はカップ戦なので、試合開始までは各スタンドへ自由に移動できます。」
近くのボランティアスタッフが教えてくれた。
どおりで、スタンドコンコースの人の往来がいつもより多い感じがした。
次の試合は隣スタンドへ親子でツアーをするのもいいかな、とも思った。
世間では花見シーズン真っ盛り。
しかし、彼女にとってはビッグスワンの素晴らしいグリーンの芝生を眺めながら食べる弁当のほうがずっと楽しい。
見上げると雲ひとつ無い青空がビッグスワンの四角にきりとられたスペースに綺麗に収まっている。
 
なにもかも順調な日だった。
やがてピッチに憧れの選手たちが歓声に迎えられ入場してくる。
恵子はその光景のなかに自分の息子「タツヤ」が将来加わっていることを空想する。
そう、このまま順調ならタツヤはきっとこのピッチに立ってくれる。
彼女は希望溢れる未来を思い描いた。
彼女の傍らでおいしそうに弁当を食べている息子「タツヤ」は、
この春からアルビレックスサッカースクールに入校することを決めている。
 
 
先日ナビスコカップ「甲府戦」でのひとこまです。
市内のOKさんはホームゲームを毎試合観戦されているとのことでした。
ご協力ありがとうございました。
登場人物は全て仮名です。
 
byシュガーレス・ライフ
4月15日

240万人のアルビストーリー 4

今年度も試合日は天候に祟られます。
ひどい強風の中、それでも3万人をはるかに越えるサポーターがガンバ大阪戦に訪れました。
そんなスタジアムで素敵な女性に出会いました。

彼女は強風を避けるように北スタンドの端の壁際に佇んでいた。
まだ試合開始まで1時間近くあり、空いてる自由席に座ることもできるのに、彼女はそうしなかった。
オレンジのレプリカシャツからしなやかに伸びた腕先にある両手は、新潟の選手の健闘を祈るのか、
胸のまえで硬くにぎられ、視線はグラウンドに向けられたまま動かなかった。
肩に軽くかかる程度に伸びたまっすぐな黒髪が、風にかき消されそうな繊細なラインの憂いのある表情を
優しく包んでいる。
不用意に声をかけると彼女の姿はそのまま消え入るのではないかというかすかな不安を覚えた。
 
小林明日香は今年の新潟のホームゲームは毎試合観戦に訪れている。
昨年まで長岡に住んでいて、年に2~3回しかこれなかったサッカー観戦も、
今年から仕事の都合で新潟市に引越してきて皆勤賞を目指す。
「だれか好きな選手がいるのですか?」との私の問いかけには
「いえ、とくに、誰が好きというわけでは・・・ないです」
と、清涼感と明瞭さのなかに、優しさとかすかな恥じらいを含んだ声で答えてくれた。
彼女の心の中は、「新潟」の名のもとに活躍する選手、チームを応援するという、
いじらしいほど純粋な郷土愛に満ち溢れている。
憂いを含んだ彼女のサイドビューは清楚な和服姿を想像させ、
グラウンドを見つめる表情は、まるで2時間ドラマの最後で、
刑事に悲しい現実を突きつけられて耐えている主演女優の風情があった。
 
キックオフ。
彼女の視線はもはやグラウンドに釘づけとなった。
驚いたことに試合が進むにつれ彼女の様子はすこしづつ変化していった。
新潟のピンチになると「北野―っ!」とGKの名前を叫び、
相手のバックパスにはこぶしを前につきだし親指を下に向けるブーイングポーズをとる。
チームや選手を鼓舞する歌にも呼応し、彼女の細い体は上下に律動した。
そして、チームの勝利。
彼女のその小さなこぶしは「アルビレックスコール」のためにうち振られた。
なぜか、そのこぶしには、いつの間にか棒付きキャンディーが握られていた。
それは彼女の持ち物ではなく、彼女の背中でおんぶされ、
ぐっすり眠っていた今年2歳になる彼女の次男「エースケ」が試合開始までしっかり握っていたものであった。
試合が進むにつれ、母親の激しい動きにたまらず背中の「エースケ」は目をさました。
握っていたキャンディーは落ちそうになり、母親にもぎ取られたのだ
 
彼女は選手がゴールウラスタンドへ勝利の挨拶にくるのを待たず、「それでは、失礼します」と、
わたしに丁寧に挨拶するとスタジアムを後にした。
彼女の背中にはシッカリとくくりつけられた「エースケ」が、いまやすっかり目をさまし、「なにがなにやら分からない」
という表情できょろきょろ首を動かしていた。

 
お母さんのはなしでは「エースケ」君はなぜかアルビの応援歌を歌えるそうですが、それは、自然の成り行きであると思います。
他でもない、「おかあさんの歌う」歌を背中越しで聞きながら「エースケ」君は育っているわけですから。
市内のA.Kさんに協力いただきました。
登場人物はすべて仮名です。
 
byシュガーレス・ライフ
 
 
 
 

4月14日(土) ガンバ大阪戦

G大阪戦といえば、05年シーズンの稲妻が轟く雨の中、新潟が数少ないチャンスをものにして勝利した試合、
06年シーズンの中原選手の芸術的なシュートが決まって勝利した試合が印象に残っています。
今年のG大阪戦は、ホームでは3年連続の勝利となりましたが、私にとっては強風の中のボランティア活動とい
うことで印象に残る試合となりました。
新潟の強風は他の地域にはないものがあります。昨日のG大阪の選手たちはは新潟のサポーターだけではなく、
天候にもアウェイを感じたのではないでしょうか。
 
この日の私の担当はメイン・北スタンドの観客対応でした。
アルビがビッグスワンで試合を開催するようになってから今年で7年目。開幕戦と最終戦の暴風雪は毎度のこと
ですが、今回のメイン・北スタンドの風の強さは、風だけならば、強さは過去最大ではないかと思います。
売店テントの設置ができない、いつもコンコースの壁や支柱に設置するごみ袋を貼れない、風が原因で転倒して
怪我をするお客様が続出するなどの影響がありました。
こういった事情で、メイン・北スタンドについては、ごみ袋の設置が1層の一部にしかできませんでした。
2層で観戦のお客様にはご迷惑をおかけしたと思います。
 
ビッグスワンの冬場は鳥屋野潟から吹く北風がスタジアムにぶつかり、特にメイン・北スタンドは強風が吹き荒れる
ことが多い環境にあります。
02年W杯のデンマーク対イングランド戦の際は、清五郎周辺だけが雨だったという話を聞いたことがあります。
他の時でも、清五郎周辺だけ天候が違うということはよくあるようです。
 
というわけでビッグスワンでの観戦の際は、何が起こってもいいように万全の備えをして来場して頂ければと思います。
 
また、試合当日の気象条件は、試合の状況に大きな影響を与えますが、試合運営も同じです。
運営ボランティアをしていると、ピッチで繰り広げられる熱い試合とは違った面を見ることができます。
試合の裏側で起こっている出来事を体感できるのも楽しいものです。
運営ボランティアに興味がある方は、ぜひ下記URLをクリックして、クラブに連絡をとってみてください。
 
以上MY
 
○アルビレックス新潟運営ボランティア募集中。詳細は下記をクリック!
  http://www.albirex.co.jp/volunteer/
4月13日

240万人のアルビストーリー 3

日本人の心くすぐる桜の季節真っ盛りですが、花粉症の私にはやや大変です。
この季節は出会いと別れの季節でもあります。

一貴は今日の授業を受けるかどうかを朝から悩んでいた。
それというのも、昨日のサッカーの試合の応援疲れからか体が重く、予習をしておくべき課題も終えてなかった。
それでも、今月の同じ授業を一度休んでおり、ひと月に二度休むのは気が引けた。付け焼刃ではあるが、なんとか課題を済ませ学校へ向かった。
ぎりぎりの時間に校舎に入るとロビーで久しぶりに京子に会った。顔をすこし傾け、しなやかな指をいっぱいに広げて手をふるいつものしぐさで一貴を迎えた。
 
彼女とは、以前まで共通の授業で週一回会う程度でしかない関係ではあったがお互い会話はよく交わした。
しかし、年度が変わり、カリキュラムの変更などあって、ここ一年全く会う機会が失われていた。
一貴は、そんなクラスメートのひとりであった彼女へ、ある特別な想いを寄せていた。
彼女のくわしい住所を知っているわけでなければ、電話番号やメールアドレスさえ訊ねたわけでもない。
したがって、もちろん、「告白する、しない」といった関係になろうという感情も無かった。ただ、彼女の、自分の意見をストレートに言える性格や、それでいて他人の意見にも耳をかたむける謙虚さ、他人を思いやる繊細なやさしさをもちあわせていることに一貴は惹かれた。
それに、なにより、会うたびに見せてくれる明るい笑顔が一貴をいつも癒してくれた。
 
一貴は京子に会うたびにアルビレックス新潟を応援することの楽しさや、サッカーの奥深さを熱く語ったが、彼女は一向にサッカーに興味を持ってはくれず、それでいていつも笑顔で一貴の話をただ静かに聞いていてくれた。
今日、そんな彼女に偶然会えたことで一貴の心はすこし浮き立った。今日の授業をさぼらなくて良かったと、つくづく思った。
髪がすこし伸びただけで以前とまったくかわりない京子の姿が嬉しかった。
 
楽しい再開は一瞬であった。
京子は今月で新潟を去る。6月には結婚式を控えていて、今日は知り合いにお別れを伝えに来たということだった。
敢えて苗字がどう変わるかは聞かない。彼女が選んだのだから相手は「いい男」に違いない。
ロビーから出て行こうとする彼女にいつもどおり手を振った。
彼女の笑顔は相変わらず素敵なままで、顔を傾けるいつものしぐさで手を振りかえしてくれた。
そんな京子と会うのはこれが最後であろう。一貴はいつもより長めに手を振り続けた。彼女も答えてくれた。
彼女の姿が消えたあとで大事なことを京子に言い忘れていたことを思い出した。
 
「結婚おめでとう。どうかお幸せに」

K子さんご結婚おめでとうございます。どうかサッカーチーム、とまではいかなくてもフットサルチームを作れるくらいのお子さんを産んでください。
登場人物はすべて仮名です。
 
by シュガーレス・ライフ
 
 
4月12日

4/11(水) ナビスコ杯@甲府戦

今シーズン初の平日開催。
平日なのでボランティアには途中参加。朝から、そわそわしてます。
「時間通りに仕事が終わるかなぁ・・・」「道路は渋滞してないかなぁ・・・」「だれが来るのかな・・・」などと、仕事が手につきません(苦笑)
あらかじめ、朝のうちに「今日は、早く帰りますから!」と、営業さんに宣言して、根回しはバッチリですw
 
無事に定時で退社し、スタジアムへ向かいました。
今日に限って、やたらと信号にかかったり、前に走っている車が非常に遅いような気がしたり。
とにかく、焦ってます。
 
平日の試合は、ハプニングの宝庫。
各部署の参加人数が少ないので、人数調整で、いつもと違うポジションに就いたりすることがあります。
スタンド担当のボラさんに、案内所に居てもらったりするのですが、全く勝手が違うので、道具がセットされてないこともしばしば。
例えば、拾得物に貼り付ける用紙が無かったり、救護室利用の用紙が無かったり、スタンド担当者が案内所用無線機を持ってたり・・・
今日のハプニングは、救護室用の毛布や、救急箱等が入った衣装ケースと、掲示物に筆記用具が入った引き出しのセットが行方不明に。
無線で(どこに行ったか)声をかけても、手がかりなし。
幸い、怪我人や病人がでなかったので、ほっとしました。
救急箱が行方不明の点意外は、落し物も少なかったので特に問題はありませんでしたが・・・
それにしても、ミステリーです。
先回、片付けたKくんに聞くと、「ちゃんと片付けました。片付ける場所も、間違っていません」
そもそも、あんな大きなものが無くなること自体、不思議でなりません。
もし、どこかで見かけたら、ご一報ください(笑)
 
 
 
4月9日

レディースも宜しくお願いします。

も開花し、気持ちのいい陽気となった週末…。
アルビ・レディースの激励会に参加しました。(今回はサポーターとして参加です、あしからず。)
 
選手・スタッフ・スポンサー様・サポーター、そして選手の皆さんを快く受け入れて下さっている職場の皆様。
アットホームな雰囲気で笑いの絶えない時間でした!!
 
選手の皆さんとは、各テーブル毎に別れて座り歓談する時間もあったのですが、みな口々になでしこDiv.1(以下L1でプレーをする期待感のようなものを感じました。
また、二年目の指揮を執る鳴尾監督からは新シーズンに向け充実した練習ができていること、『この中から、なでしこJAPANに選出される選手が出てきて欲しい』などと話され、こちらも新シーズンへの期待が高まります。
 
さて、念願の昇格を果たし、L1という新たなステージで戦う彼女たちのホームでの初戦は、皆さんご存知の方も多いと思われますが、東北電力ビッグスワンです。
王者日テレ・ベレーザを迎えての一戦。ゴールデンウィークということもあり、沢山のご来場が期待されます。
 
今期も、レディースでの試合会場でも我々ボランティアもさまざまな活動を通じて、試合運営のお手伝いを致します。
彼女たちがL1の舞台で精一杯戦えるよう、私達もL1の舞台にふさわしいサポートをできるよう頑張って行きたいと思います。
皆様のご理解・ご協力を宜しくお願い致します。
 
そして、サポーターの皆様には、より一層のご声援を宜しくお願い致します。
さらにそして、ボランティアの皆様には、日々お忙しい中ちょっとご都合を付けてレディースの運営協力の方も宜しくお願い致します(笑)
 
なお、残念ながら『トップの試合は観るけど、レディースまではちょっと…』という方!
レディースの試合のみのボランティア参加もご相談に乗れます。
興味のある方は下記URLまで↓↓↓
 
以上(y.k)
4月5日

240万人のアルビストーリー 2

昨日の深井選手のゴールを深夜のスポーツ番組からやっとのことで探り当てて歓喜していた方も多いのではと思われます。
強敵相手に追いついた「感激」より、今年のチームならもっとやれるという「期待」のほうが膨らみます。
次の試合まで間が空きますので、またエピソードをひとつ。

中沢俊夫(仮名)はアルビレックス新潟の試合結果をつたえるニュースを懐かしい思いで眺めていた。彼はアルビファンというわけで無ければサッカーファンでもない。野球派である。その彼が昨年一度だけ観戦のためにビッグスワンを訪れた。

彼の家は昨年ヨーロッパからの留学女子高生「クレア」を1年受け入れていた。中沢夫婦の子土供は男の子だけで、クレアは中沢家初の「娘」となった。当然夫婦そろって彼女を可愛がり、本当の子供同様に扱った。クレアも日本語が達者で、愛くるしい笑顔とともに性格も誠に素直で家族にこの上なく愛された。俊夫は野球以外では酒が三度の飯より好きであったが、留学生協会のほうから「留学生にお酌を絶対させてはならない」との厳しいお達しがあり、彼をすこしばかりがっかりさせた。また、しかし彼も「必死」にその約束事を守った。

ある日、クレアはアルビレックス新潟の存在を知り、「是非スタジアムに行って試合を応援したい。」と、言い出した。俊夫は彼女の為にアルビボランティアをしている友人のシーズンパスを借りるなどして彼女をビッグスワンに連れて行ってやることにした。試合当日はナイトゲーム。俊夫は学校まで彼女を出迎えスタジアムへ向かい、スタンドでは好きな酒もクレアを送る車の運転の為に必死に堪えた。

一年という時間は中沢夫婦にとって瞬く間に過ぎ去った。彼女の帰国を一週間後に控えたあたりから夫人は涙もろくなり、「クレアを養女に迎えられないかしら?」と真顔で知り合いと相談を持ちかけたりした。俊夫はいまだにサッカーには興味はなく、相変わらずの大酒飲みである。クレアが日本を離れる前に、クレアは一度だけ彼の晩酌に付き合い、やってはいけないと通達されていた「お酌」をしてあげた。俊夫はうしろめたいながら素直に受け、喜んだ。帰国の日、中沢夫婦はそろって成田空港までクレアを見送った。夫人の目はそれまで見たことがないくらい涙で赤くはれ、交わす言葉も不自然に途切れた。俊夫が別れ際に遠慮がちにクレアの肩を抱くと、クレアはきつく抱き返してきた。俊夫のシャツの上からでもクレアの目から流れる熱い涙は感じ取れた。

別れに手を振るクレアを見つめる中沢夫妻の胸には、楽しかった一年の思い出がゆっくりよみがえってくるのに対し、無遠慮なスピードでクレアを連れ去るエスカレーターが鬼のように恨めしく思えた。滑走路を背にし、空港の自動ドアを抜け、飛行機の爆音が耳に届くと、俊夫が必死に堪えていた涙は堰を切ったように流れた。いつまでも頭の中でクレアの笑顔が離れることは無く、涙も止まる事はなかった。夫人も帰途完全に沈黙し、うつむき、寂しさに耐えていた。新幹線で新潟駅に着くと、遠くにビッグスワンの明かりが輝いていた。楽しかったワンシーンが思い出され、また頬に涙が伝った。いつまでも、その涙は止まらなかった。


by シュガーレス・ライフ  秋葉区のNさんの経験に基づき構成いたしました。ご協力感謝します。

4月3日

240万人のアルビストーリー

たびたび、シュガーレス・ライフです。
スタンドでは毎試合非常に多くの人たちと接しています。そんななかで聞かせていただいたエピソードをここでひとつ。
 
 立野克人(仮名)にとっては久しぶりのビッグスワンだった。
脱サラして家業をつぎ毎日多くのお客と接する彼にとって、友人との会話やサッカー観戦が数少ないストレス解消の手段であった。
幕下力士のような体型と顔つきに、髪は耳の上あたりから下を刈り上げ頭の上にある髪は伸ばしてナチュラルパーマがかかっている
小太りのレゲエ歌手といえばわかりやすく、初対面の人にとってはすこし威圧感が」ある
そんな世間離れした見てくれとは対照的に、性格はいたって温和である。
豊かな肉付きの顔に満面の笑みを浮かべながら話す彼は、全く憎めない男なのである。
 
「なぜファビーニョは新潟からいなくなったの?」
彼の口から突拍子もない(と思われる)質問が飛び出てきた。
彼曰く、「あれだけ貢献した選手なのだから、選手としてはダメでもコーチとか、社員とかにしてずっと長く新潟にいてもらえば良かったのでは?」
とのことだ。
彼にとってファビーニョはブラジル生まれでありながら新潟にわたり、ここ新潟で「はじめて」サッカーを学び、チームをJ1まで押し上げた伝説的ヒーローに思えるらしかった。私にとっては彼の無知は笑えない。
彼にとってファビがブラジルで幾つもの一流チームをわたり、欧州でも経験を積み、日本でも大分で活躍した、などということなどはどうでもいいことなのだ。
めったにスタジアムに来れない彼ではあっても献身的プレーのファビーニョには強烈な印象だったのだ。その点では納得がいく
 
少しの立ち話のあと、おなかがはちきれんばかりのオレンジスタイルで彼はスタンドにまぎれていった。
彼の意見にはすこしばかり共感を覚える。
なぜなら、私の携帯アルビサイトのトップ画面も、まだ昨年6月の、シルビーニョと並んで写っている微笑むファビーニョのがいる。
 
 
スタンドで出会ったT.Kさんの話をモチーフにいたしました。ご協力感謝いたします。ご商売の繁栄を心よりお祈りいたします。
以上シュガーレス・ライフでした。